あれはいつのことだっただろうか。
暑い暑い夏の日、なんで暑い夏の日にそんなことをしていたのか今では思い出せない。20代のある日。実家の2階でCDを色々と漁っていた。音楽好きな父親が過去に買った大量のCD。父親の部屋を譲り受ける形で自分の部屋を手に入れたので、そこには大量のCDがあった。その中で何かいいのないかなあとごそごそと漁っていた。聞いたことある!っていうものから、なんじゃこれ、っていうものまで。その中でふと、真っ黒なジャケットで、スーツ姿のなんか怪しい4人組。ミッシェル、ガン、エレファント?ああ、なんか聞いたことあるなあ。ギヤ、ブルーズ?っていうのかなあ、渋いなあ。と。なんとなく気になるので、それを手に取り、パソコンで再生してみた。その瞬間、とてつもない衝撃が走った。
わけではぜんぜんなかった。正直、何を言ってるのか全然わからない。ただ音が大きく、ガンガン鳴っている、ロック好きだけど、なんか怖いし、で、その日はそれっきり。
それからどれぐらい月日が経ったかわからないが、同僚とカラオケ(カラオケっていう文化も本当に自分の人生から縁遠いものとなってしまったな。当時はそうだ、まだ世の中の誰もコロナを知らない時代、そんなものない時代だった)に行った時に、同期の女の子がミッシェルの世界の終わりを入れた。ああ、なんか聞いたことあるなあ。ミッシェル、ああ、結構前にCD聞いたやつか。と。そして、彼女が歌っているのがめちゃくちゃかっこよかった。
訳でも全然なかった。でも何かが、なんとも言えない何かが自分の中に残っていて、その日だったか、それから何日かたったかはもう忘れてしまったけれど、もう一度ギヤブルーズを聞いた。そしたらもうガツンときた。相変わらず歌詞の意味はわからない。でも、めちゃくちゃ刺さってかっこいい。エネルギーというか、ケモノを言うか、電撃というか、キングギドラみたいな?感じ?なんて言ったらいいんだろうか。ものすごいものを感じた。伝説の生き物みたいな。生命をビシバシ感じた。中でもスモーキンビリーが刺さった。電撃に痺れる感じ。
そこからはもう家にいてもどこか出かけるにも、ギヤブルーズを聞いた。仕事でイライラした帰り道も、めんどくさいなあ仕事、って思う日も、車で爆音で聞いた。それで何かが変わる訳では全然ないけど、それを聞いている間はマジで無敵なんじゃないかと思えた。とにかく聴きまくった。
そこからベストも買って、出ているアルバムは全部買い揃えた。
名盤ばかりだけど、やはりどれを聞いても自分はこのギヤブルーズに帰ってくる。
あれは2017年、2018年ぐらいだったと思うが、それからもう8年ぐらい経つけれど、いまだに聴いている。
ガツンときてから、ライブに行ってみたいと思ったけれど、もうすでに何年も前に解散していて、ギターのアベフトシはこの世を去っていることがわかった。悲しかった。
そして2023年。チバも。
その後、ミッシェルの映画が上映されることを知った。2009年上映の、ラストライブのドキュメンタリー映画。一番近い上映館だった広島に見に行った。爆音上映ってやつだった。会場前の階段には献花が添えられ、多くの人たちに愛されてきたんだなと、ここにきてる人たちみんな好きなんだよな、と思った。映画は良かった。その名の通り爆音で。ライブに来たみたいだった。
それでもやはり、叶うことはないけれど、一度ライブに行きたかったと切に思う。解散時点で自分が小学生とかだから、実際その年でハマったか、行けたかと考えると難しいものがあるけれど。
そして最近、レコードブームもあり、ギヤブルーズのレコードが発売されることになり、注文した。特典としてジャケットのアクリルキーホルダーがついてきて、それはいつも使うカバンにつけている。お守りのように。ミッシェルを聞いている間は誰だって無敵になれるのだ。


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